忌野清志郎に想いをよせて

夜露に濡れた「スローバラード」が流れてる ロマンチックだなー
この歌には裏話がある
市営グラウンドの駐車場でみた夢は
実際のところ、警察官がやってきて職務質問、台無しにされたそうだ
その怒りを歌に込め、警察官がどうだこうだと詞を書いていたら
当時彼女だった みかんさんが
「とてもいい歌だから警察官がどうこうはもったいないよ」と助言した
それで現在の詞になり、この名曲「スローバラード」が産まれた
だからクレジットは
<作詞・作曲:忌野清志郎&みかん>になってる
すごくいい詞だと思う

場所が具体的に市営グラウンドの駐車場と明かされる(画期的だ)
カーラジオからスローバラードが流れるという設定もロマンチック
この曲を聴くと
聴き手の頭の中に市営グラウンドの駐車場がリアルに浮かび、そこで
スローバラード(つまりこの曲)が流れるという状況がきちんと作り出される(具体性)
しかも 毛布にくるまり あのコと二人車の中
途中のトラップ?も最高
悪い予感のかけらもないといいつつも、音、メロディは逆で
悪い予感のかけらもないさ〜のところ
(コードで言えばC♯7の部分)
見事に悪い予感で一杯になり昇っていくが
次にはちゃんとあの娘に着地し聴き手をホッとさせる
でも その先は・・・
そこからは僕らだけの秘密(内容を聴き手は知り得ない)となるわけだ
あの娘のねごとも
二人が見たとってもよく似た夢も
そこだけ具体的に歌われていない
清志郎さんの詞は「雨上がりの夜空に」の成功がターニング・ポイント
だったんじゃないかなと個人的には思っている
ダブルミーニング(歌詞に二重の意味をもたす)
語尾の”だぜ”の成功
それ以後、雨上がりタイプの詞がすごく増えた ロックバンドとしては
その方がわかりやすかっただろうしカッコイイが
だからこそ時々歌われる、「スローバラード」や「多摩蘭坂」にドキッ
とする
個人的に「スローバラード」タイプだと思っている「多摩蘭坂」 にし
ても、もの凄く具体的な地名まで明かされる
”多摩蘭坂を登り切る手前の坂の途中の家を借りてすんでいる”と
(多摩蘭坂は当て字で本当は”たまらん坂”)
夜に腰掛けてた中途半端な夢も
言い忘れたことも
こんな夜と季節が苦手な理由も
具体的な地名に反してわからないが
お月さまは君の口に似てるのだ
市営グラウンドの駐車場
と
多摩蘭坂を登り切る手前の坂の途中の家
具体性と聴き手にゆだねられた部分が絶妙で距離は遠くない
だから ものすごくロマンチックだ
映像は良くないけれど、貴重過ぎる1976年の「スローバラード」を
全く売れない暗黒時代の、ロック・バンドとしてブレイク前の「スロー
バラード」
素敵すぎる演奏
こんなのを観れた
感謝してもしきれない
「スローバラード」収録 ”シングルマン”
「多摩蘭坂」収録 ”BLUE”
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