”自分は日本で言われるところのBボーイという格好をして
大きな音でヒップホップミュージックを流しながら車を乗り回しイキが
ってはいますが・・・
本当はゆずが好きです。家に帰ればゆずの歌に癒されます。でも仲間には
言えません”とあった
その話を読んで
はせ君(仮名)を思い出した
あれは10年以上前かな
はせ君はオレに言った
”自分はこんな格好(モッズファッション)をしているが
そういう音楽は好きじゃないんだ・・・R&Bとかね・・・
ちっともイイとは思わない ジュディマリが好きなんだ”
オレはとりあえず
「それでいいんでないの 無理しなくても」と答えたら
「でも周りはこんなファッションでそういう音楽一筋に聴いてるか
ら…」
とはせ君が言ったので
「あと2〜3年すればそういう人達も大半がもうモッズファッションじ
ゃないし、そういう音楽も聴いていないハズだべ」
と言ったら
「そーかなー」とはせ君が言った

ここで へびじのお話
オレがへびじに会ったのも10数年前
ヘびじは同じ専門学校に通っていた東京生まれ東京育ちのパンク・ロッ
カーだ
入学間もないある日、学校の階段で
「少し話をしよう」と声を掛けられた
へびじ とは同じ学校とはいえ専攻する科が全く違うのでオレはへびじ
を知らなかった
学校地下の喫煙所でオレとへびじ ともう一人 へびじ の横にいたのは
ベーやん
へびじは
「オレは初期のパンク・ロックが好きだ。君はどう?」と言う
「オレも好きだ」と言うと
「ヤッパリ 君とは絶対に合うと思った」
とへびじ 変わった男だ
へびじ は履き古したスリムのジーンズにこれまた履き古したコンバー
ス、ほつれたネルシャツ
ベーやんはどちらかといえばもっとわかりやすいゴリゴリのパンクファ
ッションだった
2人ともカッコよかった
後日へびじは1本のテープをくれた
「これね オレが高校の時にやってたバンド 音が汚くてねガレージバ
ンドみたいだけどね。聴いてよ」
すかさず ベーやんが
「めっちゃ カッケーよ へびじのオリジナルなんだ!」と言った
オリジナル?高校生が?オレの同級生が?
とにかくビックリした オリジナルってありなんだと
180度考えが曲げられた
もしあの時のへびじのテープがただのコピーバンドだったらなんとも思
わなかっただろうが
このオリジナルのナンバーに とにかくガツーンときた
それから
「一緒にバンドやりたいね」となった
へびじはヴォーカリストでありベーシスト
オレは「もの凄くヘタクソだがギター弾けるよ」と言った
まぁその時 へびじにはへびじのバンドがあったんで
オレはすぐギターボーカルで別のバンドを組んだ
ベーやんがドラムで
(そのバンドもあっさりダメになったけど)
へびじと結局バンドは出来なかった
スタジオで遊んだくらいだな
それからのオレは…うーむ 全く形にならぬものを ごにょごにょとや
っていた
はせ君はどうしているだろうか?
きっともうモッズファッションではないだろうが
それを誰がいいとかか悪いとか言えようか
はせ君は、はせ君で構わない
そうそう
そんな これも随分前の話になるけどヘびじが初めて出した自主制作の
ドーナツ盤はジーンときた
スペシャルサンクスには何も言わずにオレの名前…
泣けた
昔、レコードを作りたいのだと二人で話したね
ああ へびじ のレコード
不変の男へびじの心意気は素敵だ
今年の へびじ の年賀状
”新しいアルバムが出来るよ 今度送ります”と
彼は今も変らずロックし続けている…

ラベル:ヘッドバンガーズ