2008年08月19日

麗しのロックンロール山岳部隊4

keri.jpg


山頂の標識のそばで 自分のザックを枕にして


伝説のケリーは横たわっていた いや 倒れていた


「ケリー大丈夫か?」


「ここが”三嶺(さんれい)”の山頂かと思ったら・・・

違った… それがわかった途端・・・ 今も頭がフラフラする」

と言ったケリーの顔が非常に青い


「おい まるでサバのように青いぜ ケリー」と冗談を言うと


「ぐ ふ ふ」と力なく笑った




元気のないケリーにとどめの一撃

「いーか 三嶺はアレだ」オレが隣の山を指さすと

yama1.jpg

「ぉぉおぉぉ・・・」と言った 




ところで 残りのメンバーの姿が見えない

ケリーによるとグループは実は3つに分かれていたようだ


オレ、軍曹



ケリー



男前ビリー、野性児カービー、彗星カーターの3グループに


「あいつら まだかかると思う」とケリーが言うと


軍曹が

「よし 呼んでくる」と山を下って行った


「いってらっしゃーい」と見送る


しかし元気な男だ





山頂にケリーと二人きりになり

オレもへたり込んだ

結構足にキテいる


すると

「お前 軍曹に着いて行くけん 凄いな」とケリーがオレに言った


「着いて行くのに精一杯だ オレもかなり疲労してる キツイな・・・

やはり自然を山を甘くみたらイカンのだ」と言うと



「そうやな キツイわ」



と言ったケリーの顔色はやっぱりすぐれなかった





そうこうしているうちに

ずだだだっだと 元気な軍曹が舞い戻ってきて


「あいつら 遅い まだすげー下の方におる」と軍曹


「で、どうしたのだ?」と問うと


「早く来い」と伝えて登って来たそうな


その体力ハンパないぜ!




しばらくして 疲労困憊の後続グループも到着する

そして、ここが”三嶺”頂上ではなく隣の山であることがわかると

と揃って落胆の表情を見せた


皆この山が”三嶺”であると信じて疑っていなかったのだ


・・・ 山を思い違った



現実、三嶺は隣だ 行かねばならない 三嶺へ 山小屋まで



オレ達はケリーの回復を待ち 皆で先程の雪の斜面を下る


「大丈夫だ」とケリーは大丈夫そうでない顔で言ったが


下りきり 次の山を登り始めて数歩



ケリーが倒れた…



こりゃ・・・ もう無理だ 

皆がそう思ったに違いない



他のメンバーの顔も疲労で険しい




「戻ろう」


「さおりが原に東屋があった あそこまで戻ろう」


言葉少なに決断を下す


これ以上は登れない進めないと 皆が引き返す決断をした


ケリ−とケリーのザック背負った軍曹を先頭に 皆が重い足取りで来た

道を戻る



そのままの形で 引き返したので

さっきまで先頭だったオレが自然と一番後ろになった


最後尾だと全員が視界に入る、皆の疲労が目に見えてわかった


ケリー以外に倒れる者が出ても不思議ではない





雪の斜面、山頂付近でまたケリーが倒れた


すると


彗星カーターが



「ケリーーー!」と叫んだ



これが同じ釜の飯を食った二人、名門野球部で汗をながした二人の友情

か・・・ 

カーターはケリーの方に駆けだした



と思いきや斜面を2、3歩進んで 木につかまっただけだった


休憩か




とにかく皆足が重い

ケリー、軍曹と

残りのメンバーでまた距離が出来る



雪の斜面を登り 先ほどの山頂に着く

ケリーと軍曹は先に下って行った


「マズイな 空腹で思うように動けん 何か入れよう」と言うと

来る途中で買った 非常食のパンが出てきた

一人一本に割り当てられたスティックパンを皆が水で腹に流しこみ


「よし 行くか」と力なく言った


少し下るとケリーが山道で横になっている


「お前ら 遅い」と軍曹


パン食ってたと言うと軍曹は怒ったが


「オレにもくれ」と軍曹も食った


ケリーはまだ横になっている


「高山病か?」


「話には聞くが、2000メートル級の山でもなるんだな」


さっきよりもケリー顔は青い 完全に貧血を起こしていた

 
ケリーがこれ以上無理ならもうここでひと晩過ごすことになるだろう

山小屋泊を予定していたオレ達はテントも持っていないし

ツェルトも無ければ、それに変わる物も持っていない


だが・・・

ケリーは言った


「もう 大丈夫 下ろう」と


そしてこうも言った



「俺もパンが食べたい」



しかし

パンは無かった

スティックパンは5本入りだったのだ


すると 野性児カービーが

「カンロ飴ならあるぞ」とポケットから差し出した


「あぁあ」と受け取ったケリーはカンロ飴をなめていた



それから 今度はオレがケリーのザックを背負いさおりが原へ向かう

辺りは日も落ち 真っ暗闇になった

6人もいるのに ヘッドライトはオレと軍曹しか持っていない

ケリーにヘッドライトを渡し、慎重に山を下った






俺達の所持品には山に登るのに最低限必要であろう物が何もかも無い

ヘッドライトにカッパ、ツェルト、地図にコンパス…

これで天候が崩れ雨でも来たら 大変なことになっていただろう






ヘッドライトを付けたケリーが先頭を行き

無事 さおりが原に着いた


東屋に荷物を下ろし 皆がほっと一息 

ケリーにも少し元気が戻ってきた


簡単にビールで乾杯をすませ 食事にかかる


即席のカレーを作り 皆で回し食い 

ウマいものではなかったが、それを食ってやっと気分が落ち着いた


つまみには缶詰

本当に疲れていたのだろう

缶詰は順番通り男前ビリーにも回ってきたが、ビリーは缶ビール握り座

ったままいびきをかいて寝ていた






皆、疲労であまり酔えず


もう寝るか… 寝床をつくろう となったが


問題はオレらがいた風が筒抜けの東屋

さっきほども書いたように風よけになるような物は持っていない


どうにかせねば・・・

と、そこにあった木製の机を横に倒し風除けにする 



それから 床に銀マットを敷き詰め


じゃんけん


何故かというと軍曹の横で寝る者を決める為に

軍曹は寝ぞうが悪い 寝場所を侵略されるし、抱きつかれることもある


皆 大きな疲労と軍曹の隣の者は侵略及び抱きつかれるかもしれないと

いう不安も抱え眠りについた




それでも無事朝を迎えた 野性児カービーを除いては・・・

カービーは何度もうんこに行き、夜中も腹痛に苦しんでいたようだ

オレも負けず劣らずの腹痛、ウンコ師だが、たぶんカービーには敵わな



彼は山やキャンプでいつも腹痛をおこしている気がする




とにかく

皆無事下山し この無謀な初登山は終わった



帰りの車内

オレが

「やっぱり軍曹の体力はハンパない」と言うと

「お前が後ろをついてくるのでオレも相当キツかったが、意地で登った

オレは負けるわけにはイカンのだ」と言った


ロッケンロール!!!!!





そして・・・

不十分な体調、装備、情報では何が起きても不思議ではないことを身を

持って体験したオレ達は

この経験を生かし 半年後 、ある美しい山の頂上に辿り着いた

sanrei.jpg

noboru.jpg
リベンジの巻で三嶺を登るオレ↑(写真中央の赤いザック)



一度は断念した 三嶺の頂上に


それは 皆が果たした自分へのリベンジだった




ラベル:三嶺
posted by yuzamurai at 22:51| Comment(0) | TrackBack(0) | たびの手帖(Thee 四国編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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