あれはいつだったか
僕はひとり、ジンライムのようなお月さまをみた

山の中
木々の切れ間からお月さまがチラチラと覗く
運転という世間一般の退屈に飽きてしまった僕は、お月さまがよくみえる場所に
車を停めた
エンジンをきる
聴こえるのは 風、小さく揺れる木々の音
四国、高知と愛媛の境
そこへは
名前のわからない山
名前のわからない川
名前のわからないトンネルを越えたり抜けたりしてやってきた
ここでほんの少し休憩してる で、夜空に
ジンライムのようなお月さま
僕の大好きな清志郎さんはロマンチックだった
お月さまが好きだったみたい
それは時にジンライムようであったり、君の口に似ていた
そうだ… ”あの娘をかえして” と歩道橋渡る時にお月さまにお願いもしたんだ
なるほどね
今夜はジンライムのようだよ
ほんとさ よく見える
そういえば武田真治氏が言ってた
「ボス(忌野清志郎)はジンライムをよく知らなかったんですよ。
ライブの打ち上げでバーに入った時、僕がジンライム頼んだら、
「それ、飲ませてくれる?どんな味?」とボスが言ったんです。
僕が「え?ボス”ジンライムのような”って歌ってんじゃないですか」
と言ったら
「いやー実はよく知らないんだよ。あれはジンライムのようなイメージね」と
ボスが言ったんです」
小学生の頃、僕も母親に聞いた
「ジンライムって何?」
「大人が飲むお酒」
お月さまに一礼して エンジンをかける
君の家は近い
ジンライムのようなお月さまがそう言ってる

ラベル:忌野清志郎