
昔、乗り物図鑑で見た地下鉄の写真見て
ほんとにすごいなと思った
ぼくの町には地上の電車すら走ってないのに
都会は地面の下を電車が走るんだ
地上には遊園地もデパートもあるし
高いビルの群れとその周りにたくさんの人がいる
それにひきかえ、ぼくの家の周りには山の群れとわずかな人
ものすごい環境の違いだ
あの頃は身内がどこか近辺の大きな街へ出かけた時のお土産はミスタードーナツや
ケンタッキーだったりした
そういったお店は家の近所にないから、ドーナツとフライドチキンに都会を想った
今は地下鉄にも乗るし、ビルの周りのたくさんの人の中にぼくもいる
ドーナツだってフライドチキンだってすぐに買える
今の自分の中のちょっと隅の方というややこしいところに、ちゃんと昔の自分がいて
それは今と繋がってるんだけど、ちょっと追いやられてる感じ
すごく日常のささいなことで引っ張り出してきては
今はこうだよと報告する
昔の自分はもう変わらないが今の自分はどうとでもなるんじゃないか
きっとそうなんだろう
今ならなんのやり方も全部知ってる?
そんなことはない
驚いたり感心したり
楽しいことも悲しことも
笑ったり涙が流れることもある
感謝することもあれば、されたりすることもある
そんな間にも
人にだまされたり だましたりすんの
確かに昔にくらべりゃいろんなことを知った
それによって同じ出来事、同じもの見ても感じ方が変わった
陽が沈むのを残念だと思うことも今はないな
もしかして大事なことは全部、土に埋めちゃったのですか
それがきれいなうちにと…
たいしたことじゃない
ノスタルジーだけではもうどうにもならないけれど
今日も地下鉄にのって出かける