2010年12月10日

女心と秋の空

先日のこと職場である話をしたら、同僚が

「いい話だ。実にいい」と感動してくれたのでここに書こう



あれは小学3年生のある日のこと

当時流行っていた「ズッコケ三人組」に夢中になっていたオレは
(ファンクラブにも入ってたからね えへへっ)

ある女の子の机の上に置かれていた「ズッコケ三人組」をめざとく発見した

花の児童会長.jpg

「あっ オレ読んでない。コレ学校の図書館のやつ?読みたい」と思わず口にしたら


席に座ってた女の子が


「あ、あ、これ、うん」とぎこちなく言った


その女の子っていうのが、クラスでいじめられてるというのか…

本人はちっとも悪いことはしていないのだけれど

「〜 菌だ。ばい菌や」などと男の子にも女の子にも言われてよくからかわれていた

あまり話かけてくる者もいないから、急に話しかけてきたオレに驚いたのかも知れない

なんだか、ぎこちなくておどおどとした様子をみせた


翌日のこと

その子がオレの所へやって来て「ズッコケ三人組」をポンッと手渡し

「わたし、もう読んだけん。読んで」とだけ言って足早に去って行った


「ありがとう」



それからだ


オレの席は教室で一番前の列の窓際、その真後ろに仲の良い友達の席があった

だから授業中もしょっちゅう後ろを向く

すると…

おかしなことに4列くらい後方斜めに位置する「ズッコケ三人組」を貸してくれた子と

何度も目が合うのだ


最初は気にならなかった

でも次第に”なんで?おかしい”と思い始めたんだ

だって

後ろをふりむく度に目が合うからね

今思えば、あの子はずっと見てたのだと思う

黒板の方向とは異なる窓際を、オレの背中を…



2月14日


バレンタインの日がきた

けれど小学3年生の男の子にそんなもの興味はない
(少なくとも自分にはなかった)

それに女の子と仲良くするのは基本タブー

男の子の間で

「女たらし」「おかま」と蔑まれる対象は

女の子と遊んだり、仲良く話したりするやつだった

チョコレートをもらうってのはもってのほか



その日の授業も終わり、最後のあいさつ

担任の先生にみんなで「さようなら」を言っておしまい

男の子はランドセル背負って元気に教室を駆け出した

下駄箱まで競争だ

オレは急いで階段を駆け降り、息をはずませ一番乗り

そこには見なれた下駄箱… のハズだったが…

ちょっと様子が違う


靴に細長い物体が突き刺さってた


 


その物体を抜き取る

細長い箱型のアーモンド・チョコレート

それに手紙が貼り付けられてあった


後ろでがやがやと友人の声がする


彼らも走ってここへやってくる


急いで手紙をはぎ取りポケットへぐしゃぐしゃとねじ込んだ

そして

駆け付けた友人に


「ラッキー!チョコが落ちちょった」とチョコレートを掲げておどけた


「うおー なんでー すげー すげー 食おうぜー」とはしゃぐ友人数人

 
オレはその後、みんなと一緒になって遊んだがポケットの手紙が気になってしょうがなかった

いっそ、隙をみてそこいらのドブにでも捨ててやろうかとも思ったが

なんだかそれもイカン気がして

みんなと別れた帰り道、一人手紙を開いた


手紙の主は「ズッコケ三人組」を貸してくれた子

そこには小学生の女の子が思いつく精一杯の表現で

つらつらとオレへの思いが書かれてあった


つまり


好きだと書いてあった


「うーん」と 唸ってみた夕暮れどき




それから…

特に何があるでもなく、

”あの子はオレのことが好きなのだな”と理解した以外、変わらぬ日々が淡々と進んだ



1ヶ月、2ヶ月が過ぎ


オレは4年生になった



もう

そんなことも忘れかけていた春

休み時間、クラスのやんちゃな男の子があるものをみつけた

本人不在の机の上、色々と書きこまれた内緒のハズの手帳

そいつをぐーっと覗きこむ


「あれー、コイツなんか変なこと書いちょうー」


あのズッコケ三人組を貸してくれた子の手帳だった


「好きな人やって!」さっきよりも大きな声で男の子は言った


「えーっと …」手帳を読む声に


焦った… そこにはオレの名が記されているに違いないわけだから 


が、もう読み上げられる寸前

どうしようもない!




「山下… 太郎(仮名)」




は?


山下?


完全に肩すかしをくらう

読み上げられたのは違う男の子の名前だった





オレは複雑

その子に好かれていたこともバレンタインのこともばれなかったから良かったんだけど…


あれ?好きな人ってオレじゃないのか?と思った




女の子の見事な心変わりだった


驚いた


そんなすぐ変われるんだと











「オレその時、女心は移り変わりが早いことを知った。小学4年生の春のこと」


「とてもいい話だ」と数人の同僚がつぶやく


「いや、部類でいうとコレは”いい話”ではないのではないか」とオレは言ったが


それを無視し、


同僚は


「女心と秋の空」


「あははっ 小学生4年生で教えられたの?」と口々に言った




そうだった


あのとき


教えられたんだ


女心は移りが早いと


秋の空1.jpg


んー


気がつけば、あれからもう20年以上の月日がたった
posted by yuzamurai at 16:22| Comment(2) | TrackBack(0) | たのしいにっき | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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