世を挑発し続けた

十代の頃
「ゲンズブールに手を出しとかないけん」と
わけもわからずに買ったレコードが
ぱちぱちと音をたてる
やっと
そこで鳴ってる

今
室温18度の我が家でパンツ一丁
部屋の中は寒い けど フライパンは熱い
寒い けど 熱い
ゲンスブール
ゲンズブール
だんだんわかった
だんだん わかった
ただ
フランス語がわかった方がいいし、服は着た方がいいな
誰かが僕にこう言った
「ゲンスブールはだらしなさとクールが同一線上にある」
「あっ それだ…」
なすを切りながら 思わず口を出た
「さぁ いためよう」

にんじんとピーマン多い…
人生初の麻婆茄子(まーぼーなす)を作っている
料理はようわからんことだらけで、それはそれでおもしろい
「でけたぁ」

やっぱり、にんじんが多い気がする…
あまりに赤がいっぱいなので、これはいけんと思って
紫色のなすをさがしてほじくり返す
ぐっちゃぐちゃ
「まぁいいや」
これで
嫁さんに愛想尽かされてひとりぼっちになっても、世を呪いながら
麻婆茄子(まーぼーなす)は作れる
そして
奇跡的にうまかったら
料理長がいつかゲンズブール爆音のクールなお店を構えた時の
メニューにもくわえよう
野望はつきないぜ
あ
クールなA面が終わりましたよ
ラベル:セルジュ・ゲンズブール