時代遅れのいかれたバーのカウンターに座った

もしここで
「あんた、イカ好きか?」
と聞かれれば
「いえす」と深刻な顔で答えるのだが
場にそぐわないからか、誰も聞いてこない
まぁ、聞かれても、聞かれなくても、イカの旅はつづくんだが…
「ああ マスター もう一発 ビッグ・ジェイ 頼むよ、品のないイカシタやつ。
あと、ウェルチ。 レモンのスペシャルなの。 ウオッカで割ってくれ」
「PSYCHO SERENADE」BIG JAY McNEELY
…
翌日、
オレはイカをもとめ道南をさまよった
ふらり、森町へ

「ここが森駅だ」
「かのゆーめいなイカめし下さい」

「うまい」
「けど、小さい」
オレは
イカめしというものに金をかけたのは生まれてはじめてだった
イカめしとは、
青江美奈が歌うブルースに狂ったばあちゃん
とか
近所のJBみたいなおばはんが作るものであって
いつも無料で食えたものである
そうでしょう?
今、オレが突然
「イカめしが食べたくなった。買って来る」と言っても
ベントスでもほか弁でも近所の西友(SEIYU)でも売ってない(たぶん)
そう言えば昨日
いかにもイカめし風のばあさんに
「西友(SEIYU)ってわかる?」と聞いたら
「水牛?」言うてた 文章にするとまったく面白くないが、オレは面白かった
とにかく
念願のイカめしをクリアした 2年越しのことであった
また、車は走る
ロードナンバー ファイブ
つづく