「あー ユニコーンの歌やん」
“約束通り走りぬいたけど
届かない ねぇ ジョー・ディマジオ”

少年はバットを振りまわす
スタジアムは近所のお宮
ぱかんっ
「わー ホームランや」
青空に弧を描いたボールは木々をかすめた
青々とした木々は葉を散らしながら大きく揺れる
少年の声、蝉時雨
「どっち?」
「こっち?」
「あっち?」
「うー」
「わー ない」
「ボールがない」
「ボールが見つからん」
「ほんまか。ちゃんと探そう」
「そんでよ…」
「もしかして、この状況はよー」
「もうボール買う金がない…」
少年は野球が好きだった
そんで
今、あの頃みたく...
「うーん」
みんなもきっとどこかでWBC観てるんだろうや