うそだと思うなら、ここへ来るといい
内地の夏しか知らぬ者にとって、北海道の夏は革命だ」
と、言ったのはわたしだった

「暑い・・・」
まんべ君を素通りして
南へ南へ道はつづく
ずいぶんと走って、気が付けば
ふと、とびこむ夕日
今夜は上ノ国町のキャンプ場に泊まろうと思うのだが、もう日没だ
キャンプ場は暗くなる前までに到着するのが鉄則なのだけど、
ご当地のハンバーガーも食べたいし
「時間がないのに、ハンバーガー店もない・・・」
江差のラッキーピエロに迷った
「今の道ぞいにあった?」
江差の道の駅、江戸時代の江差に実在したといわれる
「とんち」の名人・江差の繁次郎さんの前で自問自答する

「きっちょむさんなら知ってるけど、通り過ぎてもうた。はんじろさん」
でも、引き返して徘徊してたらあった
なんとかチャイニーズバーガー買って
くくりつけてさ
また、進むんだけど
ビールも買わなきゃ
また、くくりつけてさ
はんじろさんの前をもう一度過ぎるのさ
暗くなって、すべては闇の中へ
江差から少し走って、上ノ国町で真っ暗
「こりは何?」
ここは違う
もっと上へあがったらまた、真っ暗
「誰もおらん・・・ ロケン・・・」
北海道キャンプで頭をよぎるのは、クマとの危険な遭遇だが
「ここはどぎゃんですか?はんじろさん」
・・・
「冗談抜きで、幽霊が怖い」
誰もおらん
はんじろさんはなんか食べてた

目がいってはる
おにぎりかな?
わたしも食事にします
「はんじろさん、今はハンバーガーちゅうもんもあるよ」
夏の夜にふわふわする
百戦錬磨のわたくしでも、誰もいないここは、少し怖い
風となんらかの音がします