2009年08月03日

哀愁の町のイカダチームG

「もう だいぶ終盤?」


「そうやね」


毛人2.jpg

瀬を抜け、また穏やかな川

激流を終えるといつも地味な画になる毛人(もじん)1号だった


晴天の高知、吉野川、男6人が力を合わせて漕ぎ進む


そう書けばかっこいいが、自分らの意思で進んでいるのはこのような穏やかな川

と対峙した時のみであって、激流時はその意思とはうらはらに、なすがまま、

されるがままのピンボール

レット・イット・ビー


いや、

川が穏やかな時でさえ思い通りとはいかなかった


「おい また右に寄りよるぞ」


「なんで?」と伝説のケリー


「イカダ本体が曲がっちょるがよ」


「んー?」


右曲がりのダンディズム

これは最後まで改善されることがなく、原因もわからなかった

そして今後誰も追及しないだろう


だからもし来年このイカダ大会に出場しても、同じことが繰り返される可能性は高い


「おーい また右に曲がりよる」



さて

穏やかな川の毛人(もじん)1号


「2号は?」


前方に2号の姿はなかった


「見えん! 見えんぞ! イカン! とにかく…   進め!」


「よーし あいつらには絶対負けんぞ!行くぞー」皆で声をあげた


そうやって今日何度目かの気合い注入をしたオレらの前に、また瀬が立ちふさがる


「あれれ」


「出た」


「はい 出ました また激流」


凹凸のない早く長い瀬だ


「コース取れ!イカダの方向だけ合わせ!あとは流れて行くぞ!」と軍曹


だいぶ賢くなった我が1号、瀬を前にしてはじめて冷静かつ、らしい指令

が飛んだ


瀬の中であがくのが無駄だと気がついたのか…


それが成長だった


瀬の先に沈下橋も見える


「沈下橋や 橋げたにぶつけるな その間を抜けるぞ」


徐々にイカダが瀬に近づいて行く


「よーし よーし このまま入るぞ」



ずざざざざあああああああああ 



「ええぞ 行こう このまま行こう!」


この瀬はこれまでの瀬と違い、突き出した岩や生い茂った木といった障害物がない

ただその流れに乗って突き進むといった感じ

だが油断はならない

右全方に座礁したイカダが見えた


「おい あれ 毛人(もじん)2号か?」


「ん? いや違う 船体の番号が違うな」


そのイカダにはもう人は乗っておらず、瀬に敗れ哀れな姿で吉野川に引っかかっていた 


「じゃあ、もしかして、ジローのイカダか?」


「いや オレらと関係ないイカダや!」カーターが言った


この瀬では会話が出来る余裕がある

スピードにはのっているものの、そこに障害物がないからだ



ずざざざざざざざざあああー



「ええ感じや」


「このまま行こう」


そんな少し余裕ありげな会話の中、沈下橋が迫ってきた


その橋の上に沢山のギャラリーの姿も確認できる


「うちの嫁がカメラ構えておるハズ!」


オレらは撮られることを前提に突入していったが、


「いや おらんぞー」と誰かが言った


嫁はいなかった


「おかしいにゃぁ 沈下橋からオレらの雄姿を写す予定やに…」


「おい! 沈下橋! このまま行けるぞ!」


「よーし」


ざざあああああああああーーーーー


「橋げたと橋げたの間ー」


「抜けたー」

 
毛人1号はその橋げたを見事かわした


「頑張ってー」見知らぬギャラリーの声援と拍手を背中で受ける1号の面々


特にリアクションはとらなかった 


”クール” ”しぶい” ”かっこいい”…  気がしないでもない



瀬の脱出 すり抜け成功  そこから先は平和な流れ


事前の情報では沈下橋は最後の難関とのことだった 

ということはゴールが近い


「ラストスパート 漕げー」


穏やかな川を6人が漕いだ 2号に負けてはならぬと…

もうしばらく2号の姿は見てないがオレ達は諦めてはいなかった


この2船の勝負にはこのレースの打ち上げ費がかかっている

皆、必死だった


「声出せー」


隣の伝説のケリーを確認すると死にかけながらも頑張っていた


「ええぞー ケリー」


ラストスパートの結束

しかしこれが早いのかどうかはやっぱりわからない


川は緩やかに右に曲がりその先に沢山の人の姿、テントに横断幕が見える


「あれや!ゴールや!」


遂にやってきた


毛人1.jpg


ばしゃばしゃ漕いで瀬にもまれ 5キロの旅路と40分 


ああ ゴールなのだ


「2号は?」


「あいつら あれや あそこに見える」ケリーが指をさす


最後は全く流れが無くイカダはゆっくり進む

それをじれったく思ったか軍曹、知らぬ間にゴール付近の浅瀬でイカダを押していた


彼の負けん気がそうさせたのか? いや、ただの悪あがき?


オレの後ろでイカダから降りた軍曹が


「ぐおおおおおお」言うてイカダを押し進める




「よ、よっしやあああああああああああ」




「ゴール!」皆が口々に叫んだ


2号の面々、それにタローとジローが駆け寄ってくる


「お疲れ!」


「いやー なんとか着いた お疲れ」皆がイカダを降りる


「おお 疲れたー」伝説のケリーが川に飛び込んだ


それぞれおもいおもいに川で体を冷却 やっぱり暑いのだ



オレはそばで顔を洗う男前ビリーに


「お疲れ」と声をかけた


「おお やったにゃあ」男前ビリーがそう言った



最後にゆっくり全身を川に浸してから上がる



「まじ面白かったことない?」駆け寄ってきた板金ロッカー


「おもろい!」


「で、そっちはどうやった?」


「それがわからんがよ オレら2号は結構だらだらグデグデやったけど…」




1号2号全員の輪が出来、そこでジョニーの落船の話になる


「じきに落ちるがやけん 2回も落ちてよー」と軍曹


そんな笑いの中


「オレら誰も落ちてないぞ 瀬で岩にもぶつかってない 沈下橋はぶつかったけど」

とアイク


ん?


2号の方が運転技術は上だったか…


「そりゃ まずいにゃぁ」





ゴール地点にこのイカダ大会本部のテントが立っている

その中でスタッフが電卓を叩いている姿が見えた

各チームのタイムを計算をしているようだ


テント脇に張り出されたタイムレコードに人の群れ


「オレらのタイムは?」ジョニーが言う


その順位、タイム表を覗き込む


「いや、1号のはまだタイムが出てない 2号のは出ちょる」


「… タイム見てもようわからん トップと10分差か…」


あのレース運びでこの大会を優勝するのは無理だ

問題は2号との争い…


その2号は中位くらいをさまよっている


「ところでライブ、時間は間に合うかにゃ」


そう、オレとジョニーはこのあとライブがあるのだ



ライブといっても自分らが演るわけではない

kuromaniyonzu.jpg

クロマニヨンズと

saitousann.jpg

斉藤和義のライブ



本日はイカダとライブの強行軍


ライブまでの時間は微妙なところだ


「なんとしても間に合さないかんもんね 結果わかったらすぐここ出ようぜ」





そこへ新しい順位表が張り出された


1号、2号全員が集まってくる


「んー」


「あった あった毛人1号!」


しばしの沈黙…




「あああああああああああああああ か、勝った!!!」



「え?え?どっち?どっち?」



「1分! 1分早い!!!」



毛人1号は1分の差で2号に勝利を納めていたのだ


「よーし ただ飲みじゃん!」


「すまんねー 君ら おごりね」


「いやー ほんま わるい ちなみに打ち上げ日は後日追って報告するけん」


「ほほー ただ酒ね」軍曹を筆頭に1号の面々は本当に嬉しそうだ


意気消沈する2号



そこでぎゃあぎゃあ騒いだあと


「あ ライブ ライブ」


「そや ライブや 行こかー 急げ!」とオレと嫁

そしてジョニー


慌ただしく着替えを済まし


「お疲れさん」と「いってきます」


我ら3人は戦友と…


激戦の地”本山町”吉野川に別れを告げた


毛人3.jpg


「疲れたー」


「でも勝って良かったね」と嫁


「お前、沈下橋おらんかったやん」と言うと


「場所がようわからんかった」と一言


「あの橋で写真と撮ってくれたらよー オレら かっこよかったににゃぁ」


高知市へ向かう車内


大きな声でジョニーが言った

いかだD.jpg


イカダ日和、ライブ日和 



「よーし 次はライブ 行くぜー」


よく日焼けして赤みを帯びた顔でハンドルを握ったオレはそう言った


ライブのチケット.jpg


レースの終り まだまだ日差しは強い


本日は晴天なり







イカダ後のライブ話

もうちょっとだけつづくと思ったけど、


ここは短く、ヤギさんからのお便り風に


”たいへんロックな真夏の夜の出来事です

壮絶なクロマニヨンズのライブ後、斉藤和義の登場を待たずして嫁は

「もう… わたし、イカン…」言うてこと切れた 

早い話が、盛り上がりすぎたライブで酸欠おこしてダウンしました”



とだけご報告して終わります



おしまい
posted by yuzamurai at 19:00| Comment(4) | TrackBack(0) | たびの手帖(Thee 四国編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

クロマニヨンズ

いいですよね〜

ボクも一度生で見てみたいものです。

清志郎にチャボがいれば
ヒロトにはマーシーがいる

ロック界一のコンビですね。
Posted by マイト at 2009年11月10日 00:10
ヒロトとマーシーの二人もすごいコンビですよね
3つも同じバンド渡り歩くってないですよ

そんな二人のクロマニヨンズマジかっこいいです
Posted by yuzamurai at 2009年11月10日 09:58
レット・イット・ビーって!(笑)
何はともあれ無事完走できてよかったですね。
そしてライヴは間に合ったのでしょうか・・・。
続きが気になる!
Posted by LA MOSCA at 2009年11月10日 21:29
まさにレット・イット・ビーなのです

身を任せるというか…

そんな感じで完走

なんとか完走

イカダレース面白いですよ

LA MOSCAさんも是非(笑)
Posted by yuzamurai at 2009年11月13日 10:19
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