そして君は今朝 ランチを作った
冷え切った床に造花の影がゆれる2月

欲しいスエードのブーツやジャズのレコード
と思って雑誌をペラペラやって 財布の中身
お金が無さ過ぎてびっくりする
入ったと思ったら出ていく 異常な回転率の良さ
今月もすでに出て行った そんな冷え切った2月
雪は腐るほど降るが お金はいつもピチピチしてる
腐らしている余裕はないんだ
よし
大音量のジャズをBGMに植草甚一読んでマネーのことは忘れよう

とにかく未来の話
真空管アンプにパチリと電気を通して…
珈琲を入れよう
そうそう 最近やっと部屋にレコードプレイヤーを設置したんだ
引っ越してからずっと押し入れで眠ってたやつ
だから今じゃあ
ロックンロ−ルやジャズがあたたかい音で古いスピーカーから室内に流れ出てくる
きっとここいら近辺でもっとも素敵な環境だ
「レコードを聴かない生活の中ですっかり忘れてた。
これで生活が楽しくなった」
とぼくは君に言った
ほら
真空管もじわりとあったまってきたよ

ぼくは散歩と雑学が好き
と打ちこんで 珈琲に手を伸ばした
ソニー・クラークが心地よく鍵盤をたたく

いつでも愛ある明日を信じていたい
ずるいな
珈琲は冷めてしまったよ
ラベル:植草甚一